Interview of
GeoRome Developer
キャンピングカーは、単なる移動のための道具ではありません。
そこで過ごす時間や体験は、旅の質だけでなく、暮らし方や価値観そのものにも影響を与えます。
日本特種ボディー株式会社(NTB)が発表した新型モデル「GeoRoam」は、
そうした考えを体現する、これまでにない一台として誕生しました。
開発の背景には、いすゞ自動車株式会社とのタイアップ、
そしてNTBが次の時代へ進むための強い意思がありました。
本記事では、GeoRoamの開発・設計・製作に携わったキーパーソンたちの言葉を通して、その思想と舞台裏をご紹介します。
「きっかけは、Be-cam初の4WD発表企画でした」
プロジェクトリーダー/開発担当:仲間本部長

GeoRoamのプロジェクトが動き出したきっかけは、いすゞ自動車が予定していた「Be-cam 2tワイド 初の4WD発表企画」でした。
「タイアップ企画として、GeoRoamのコンセプトカー製作がスタートしました。最初から、自由度の高い一台を作れる条件がそろっていたと感じています」
仲間本部長が目指したのは、
オーバーランドスタイルの無骨さと、
洗練された上質な居住空間を両立させることでした。
「快適性・機能性・デザイン性・質感。
そのすべてを妥協せずに詰め込み、“次世代のキャンピングカー”を形にしたいと考えました」
「行動範囲が広がることで、旅の質は変わります」
GeoRoamの開発にあたり、想定したユーザー像は明確でした。
「4WDの走破性を活かして行動範囲を広げ、
自然の中で過ごす時間を大切にしたい方に乗っていただきたいと考えました。
そのうえで、旅先でも上質さや快適さを求める方を想定しています」
GeoRoamは、アウトドアに特化した車両でありながら、
居心地の良さや空間の質を犠牲にしないことを重視しています。
NTBの技術と世界観を、ゼロから再構築した一台
GeoRoamは、NTBのラインナップの中でも特別な位置付けのモデルです。
「一言で言えば、NTBの技術と世界観をゼロから再構築した、唯一無二の存在です。
タイアップだったからこそ、新しい発想をそのまま形にすることができました」
カフェのように落ち着いた雰囲気を持つインテリアと、
無骨さと洗練を併せ持つオーバーランド系のエクステリアは、
従来モデルとは明確に異なる個性を放っています。
「これは、NTBが進むべき未来を象徴するモデルです」
NTB創業から11年。
数多くのモデルを世に送り出してきた中で、GeoRoamは特別な存在です。
「GeoRoamは、NTBが今後進むべき未来を象徴するモデルだと感じています」
これまで培ってきた技術と構造の信頼性に、
新しいデザイン思想、新素材、そして新しいお客様層へのアプローチを掛け合わせました。
「次の10年に向けて、NTBがどのように進化していくのか。
その方向性を示す一台になったと思います」
「完成まで約6か月。正直、通常なら不可能でした」
いすゞとのタイアップを通じて、特に印象的だったのは、
世界観や仕様について徹底的に意見交換を重ねたことでした。
「エクステリアもインテリアも、ほぼゼロから作り上げました。
企画が本格的に動き出してから完成まで、約6か月しかありませんでした」
通常であれば実現が難しいスケジュールです。
「両社の“本気”が同じ方向を向いていたからこそ、最後までやり切ることができたと感じています」
「譲れなかったのは、“世界観の完成度”です」
開発において、最後まで妥協しなかったポイントは明確でした。
- 4WDらしい無骨さと、遊び心を刺激する拡張性
- レイアウト・照明・素材までこだわり抜いた空間の質
「この二つの軸だけは、最後まで譲れませんでした」
「これは“移動する家”だと、はっきり感じた瞬間がありました」
設計担当:ティエン氏

GeoRoamの設計を担当したティエン氏が、この車両を“特別な存在になる”と確信した瞬間は、試作車の内装に「自宅のリビング」をイメージしたデザインを取り入れたときでした。
「無垢材や木目パネル、大きな窓から差し込む自然光を組み合わせた空間に立ったとき、これは単なる車ではないと感じました。そこには、“人が暮らせる場所”が確かに存在していました」
一般的な車両設計では、効率や機能性が優先されがちですが、GeoRoamでは「人がその空間でどう過ごすか」を起点に設計を進めました。
「誰でも、どこでも、自分の居場所を持てる」空間を目指して
ティエン氏が大切にしていたのは、バンライフの本質を空間としてどう表現するかでした。
「この空間で朝を迎え、夜を過ごし、景色を眺めながら仕事をし、思い出を重ねていく。GeoRoamは、家と旅先が分断されるのではなく、“家そのものが旅をする”存在でありたいと考えていました」
単なる移動手段ではなく、人の生き方や人生の自由度を広げる車であること。それが設計の根底にありました。
居住性と安全性、その両立への工夫
設計で最も悩んだのは、限られた空間の中で居住性と安全性をどう両立させるかでした。
「収納や設備を増やせば快適さは上がりますが、動線や安全性が損なわれてしまいます。
そのバランスを探るため、何度も設計を見直しました」
キッチン、リビング、寝室、マルチルームが自然につながるレイアウトは、そうした試行錯誤の積み重ねから生まれています。
自然光と“機能美”が生む心地よさ
GeoRoamでは、自然光を最大限に取り入れる設計を意識しました。
「大きな窓によって圧迫感を減らし、車内にいながら外とのつながりを感じられる空間を目指しました」
また、ラグジュアリーとオーバーランドという相反する要素を調和させるため、「機能美」を重視しています。
「必要な機能はすべて備えながら、主張しすぎない。
使う人が意識しなくても、自然と快適さを感じられることを大切にしました」
使い続けることで伝わる、設計者の想い
最後にティエン氏は、GeoRoamの魅力は細部にあると語ります。
「動線や照明など、最初は気づかなくても、使い続けるうちに『よく考えられている』と感じてもらえるはずです。
この空間が、誰かにとっての“帰る場所”になってくれたら嬉しいですね」
「作り手泣かせですが、それ以上に誇れる一台です」
製作担当:吉田氏・岡部氏


GeoRoamの製作を担当した吉田氏と岡部氏は、この車両について口をそろえて「これまでとは明らかに違う一台だった」と振り返ります。
「今回のGeoRoamで特に印象的だったのは、壁に漆喰を使い、床を板張りで仕上げたことです。どちらも一般販売モデルではまず採用しない工程で、まさに“コンセプトカーだからこそ実現できた仕様”でした」
これまで経験のない工程も多く、製作は決して簡単なものではありませんでした。
「正直なところ、最初は戸惑いもありました。ですが、仲間本部長が掲げていた『無骨さと上質さを両立させる』という世界観を形にするためには、欠かせない要素だと感じていました」
こだわりが詰まっているからこそ、難しい
GeoRoamの製作を通じて強く感じたのは、その“こだわりの密度”だったといいます。
「外装も内装も、ほぼゼロから世界観を作り上げる開発でしたので、工程数が非常に多く、一つひとつの作業に高い精度が求められました」
さらに、いすゞとの本気のタイアップという背景もあり、短期間で高い完成度を実現する必要がありました。
「いわば“作り手泣かせ”の車両でしたが、その分、この一台にはNTBが未来に向けて進む姿勢が詰まっていると感じています」
完成した瞬間に、すべてが報われた
完成した車両を初めて目にしたときの気持ちは、今でも忘れられないといいます。
「シャシとシェルがドッキングされ、初めて一台の形になったとき、『想像以上に大きい』と圧倒されました」
製造中は養生で隠れていた内装も、最後にすべてが姿を現します。
「養生を外した瞬間に現れた、上質でありながら渋さのある空間を見て、思わず見入ってしまいました。『カフェのような落ち着き』と『オーバーランドの無骨さ』が、きちんと同居していると感じました」
ユーザーに注目してほしいポイント
ユーザーにまず注目してほしいのは、外装の存在感だと岡部氏と吉田氏は語ります。
「色味やサイズ感、無骨さの中にある渋いかっこよさは、この車ならではの魅力だと思います」
内装についても、従来のキャンピングカーとは一線を画す印象を持ってほしいといいます。
「ゴージャスでありながら温かみのある木製家具は、製作する側から見ても新鮮で、“かっこいい内装”に仕上がっていると感じています」
「どこへでも連れていってくれる相棒」であってほしい
最後に、このGeoRoamでどんな体験をしてほしいかを伺いました。
「GeoRoamは、街でも自然でも、自分の“好き”を積んで、気軽に出かけられる相棒のような存在です。新しい景色に出会い、普段とは違う時間を過ごす。そんな旅が自然と生まれる車になってほしいと思っています」
GeoRoamは、つくり手にとっても挑戦の連続でした。だからこそ、この一台に込めた想いは強く、確かなものです。
「この車とともに、ユーザーの皆さんが“自分らしい時間”を取り戻す旅を楽しんでくだされば、つくり手として、これ以上嬉しいことはありません」